□ STEP2 生命保険を選ぶポイント(1) 必要保障額の考え方

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STEP2生命保険を選ぶポイント(1)必要保障額の考え方

保険選びの最初のポイントは、「いくら保障が必要なのか」を考えることです。
まずはこの点を確認しましょう。

(1)必要保障額の考え方・・・{妻子の生活費―(遺族年金+妻の収入)}×12ヶ月×保障年数―貯蓄

 

 

保険で備えるお金(必要保障額)={もしもの時に必要になるお金ー(公的な保障+貯蓄)}

 

※人生の必要資金(万が一の必要保障内容)・・・支出 

a) 老後を含めた生活資金
b) 教育資金
c) 家賃・ローン
d) 住宅購入資金
e) 子供の結婚資金
f) 死後の整理資金
g) 相続対策資金
h) 緊急資金(療養・事故)

現在の収入を維持するには?現在の生活を維持するための金額を基準に考える
保険を選ぶときには、まず、何かあったときにいくら必要かを考えることが重要だということは先に述べました。ではいくら必要なのでしょうか?この金額は簡単に算出でき、「現在の生活を維持するための金額」が基準と考えればよく、この金額は簡単に算出できます
その際「子どもが今○歳だから、小学校から大学まで私立の学校に通うと教育費だけで1000万円以上かかって……」という計算をしてもよいのですが、最もシンプルな考え方は、今家庭で収入を得ている人(例えば夫)が将来にわたって得る所得を計算することです。例えば家族が夫、妻、子ども1人で、働いているのが夫だけだとしたら、今の生活レベルを落とさないために必要な金額は、最低でも「夫の生涯賃金」だということになります。
生涯賃金は「年収×働く年数」という計算で算出できます。年収をとりあえず一定とし、夫の年齢が現在30歳であれば、あと30年間同じ収入が続くと仮定すると、年収が600万円の場合は、手取りが約500万円として×30年で1億5000万円となります。
この例では子どもが1人の場合としましたが、子どもが何人いても、あるいは子どもの学校が私立なのか公立なのかといった違いがあっても、この計算は変わりません。教育ローンを使ったとしても、ローンを返すのはこの生涯賃金からです。
つまり、現在の生活レベルというのはこの収入によって維持されるものであり、親からの遺産を引き継ぐとか、宝くじが当たるなどの特別なことがない限り、生涯賃金の範囲で一生過ごすのだ、と考えればよいのです。
前述のケースの場合、家族に今の生活を維持させていくためには、30歳くらいで、1億5000万円の保険に入らなければならないということがわかります。このイメージを左右の所得のバランスから記入した表にしてみると、生涯賃金1億5000万円の所得者の30歳時点のその表(この時点で預貯金が500万円あると仮定)は図1のようになります。
すでに預貯金ですべてがカバーできるのであれば、表の水色の部分は「現実にあるもの」ですから、わざわざ簿外(実際にはない)に表を作る必要はありません。つまり保険に入る必要はないということになります。また現時点で1億円貯金があれば、表上では5000万円分作れば済むというわけです(1億円の貯金というのは現実的ではありませんが……)。

 

 

 

 

A:現在どのような形でそのお金は存在するのかを表す(現金なのか、貯金なのか、株なのか、など)
B:どうやって作る(作った)お金なのかを表す(借りたのか、自分で作ったのか、など)
C:「もしもの時」のために、このバランスシートを作っておく
ここでいったん保険料はいくらかかるのか見てみましょう。

 

30歳で1億5000万円の保障が必要という人の場合、

 

B社の死亡保障だけの保険(1年更新型※1)に入ると、保険料は月々?

 

30歳(保障額1億5000万円)→約2万3000円(※2)
40歳(保障額1億円)→約2万2500円
50歳(保障額5000万円)→約2万2000円
となります。保険料は「掛け捨て」です。

 

 

 

この場合、30歳で1億5000万円の保険に入ると、入ってから1年間は月に約2万3000円、31歳で更新する際は、必要保障額は1億5000万円-500万円(年収1年分)ですから、1億4500万円の保険に入ることになります(ちなみにこの場合の保険料は約2万2000円です)。こうした考えにもとづいて計算していくと、40歳になると保障金額はおよそ1億円で保険料は月2万2500円、50歳では5000万円ですから月2万2000円といった保険料になります。ここで、保障金額と保険料の両方が出ましたので、次に進みましょう。

 

※1 1年更新型:この保険は、1年ごとに契約を更新し、契約年齢が上がる毎に保険料も上がるタイプです。
※2 この保険は、30歳の保障金額は上限1億円でしたので、1億円の保険料を単純に1.5倍して計算してあります。
生命保険以外の収入は?生命保険以外からカバーできる金額を算出する前項のケースの「1億5000万円の保険に加入する」例を考えると、死亡保障のみで保険料が月2万2000円というのはちょっと高いかもしれません。そうすると「1億5000万円は必要ないかな」と思ってしまいます。
しかし、STEP1で「保険の原理原則を忘れがち」と述べたことを思い出してください。この段階ですぐに金額を変えてしまっては、保険に入る意味がなくなってしまいます。生活のレベルを落とさないためには1億5000万円必要なのですから、この数字は変えずに考えましょう。
といっても、この金額はあくまでも基準です。
この数字からどれだけ減らせるのかは次のように考えていきましょう。
まずは保障金額1億5000万円を出発点として、生命保険以外から支払われるお金について考えます。

まず、国民年金・厚生年金に加入している場合、ここからいくら支払われるかを計算します。一般的に会社勤めの方は、通常厚生年金に入っているので、遺族基礎年金?と 遺族厚生年金?が支払われます。自営業者は国民年金に入っているので遺族基礎年金が支払われますが、養育期の子どもがいなければ、遺族基礎年金は支給されません。また夫には、養育期の子どもがいるかいないかにかかわらず、遺族基礎年金は支給されません。
また、夫が亡くなった後に妻が働ける場合は、その額も考慮する必要があるでしょう。ほかにも現時点での預貯金など考慮する点はありますが、今回は1億 5000万円から遺族年金と妻の所得を差し引いた額が保険でまかなう大まかな額だということとします。

?遺族厚生年金は年収や加入年数などによって異なりますが、このケースの場合は妻に年額約80万円が支払われます。妻が年をとったら老齢年金をもらうケースなどもありますが、原則として一生この約80万円がもらえると考えてください。 遺族基礎年金は子どもがいる妻、または子どもに支払われます。子どもが高校を卒業するまで(18歳まで。若干の例外あり)、子どもが1人の場合に年額約100万円が支払われます。これらを差し引いてみると、生命保険で1億5000万円作る必要はないことがわかります。妻が働かない場合で約1億円、妻が 60歳程度まで年収200万円のペースで働く場合には7000万円程度の保障で済むことになります。ここで再度保険料がいくらになるか計算してみましょう。遺族年金と妻の所得を差し引いた場合に、30歳で約7000万円の保障でよいのですから、月々の保険料はおおよそ半分の1万2?3千円と考えればよいでしょう。

 

自分で出来る年金額簡易試算(社会保険庁)・・・老齢基礎・老齢厚生年金試算※遺族年金試算ではありません。出ていくお金を減らすこれまでは、「生活レベルを落とさない金額」を基準に保障金額を見てきました。生活レベルを維持させたいのであれば、維持するために必要な保険料が払えるかどうかで加入を決めることになります。
しかし、もっと質素に暮らしていくという考え方もあります。子どもの学校は私立を想定していたのであれば、それを国公立に変更したり、日々の生活も切り詰めるなど、いざというときには今より(想定していた生活より)生活のレベルを下げる覚悟ができれば、保障金額は生涯年収ほど必要ないかもしれません。
このように考えられるかどうかによっても保障金額、そして保険料(コスト)が変わってくるのです。

 

 

 

必要な保障金額を簡単に算出するポイント?

1:ほしい金額(必要だと思う金額)を計算する→「基準」の金額
2:1から生命保険以外から支払われるものや、妻が働いて得られる金額を差し引いて、生命保険でまかなうべき金額を算出する→「基準」の金額から「遺族年金」や「妻の所得」などを差し引いた金額
3:1と2を比較検討し、再度保障金額を算出し直す→「保障金額」決定

 

医療保険はどれくらい必要?

 

医療保険も生命保険(死亡保障)と同じ次に、医療保険について考えてみましょう。
考え方は生命保険と同じで、「もしも病気になったらいくらほしいか」という観点から出発します。病気で入院する場合、入院費や治療費といった医療費だけでなく、その間の生活費が必要です。
ここで大切なのは、医療費とその間の生活費は貯金でまかなえないか、ということを頭におきつつ、実際の医療費がどのくらいかかるかを見積もってみることです。
次の順番で考えるとわかりやすいでしょう。入院するといくらかかる? ?入院費や治療費といった医療費は?たとえば、前述のAさん(年収600万円のサラリーマン)が盲腸で1週間入院した場合、入院費や手術代を含めた治療費など医療費が30万円かかるとします。
このとき健康保険に入っていればサラリーマンの自己負担は3割ですから、約10万円を自分で支払うことになります。
(1)10万円が基準となるただし、同じ病院に支払った医療費が1か月に一定額(この額は所得と年齢によっていくつかのパターンがあります)を超えると、「高額療養費」となり、超えた部分が払い戻されます。
この例で、10万円を同じ月に支払った場合は、約3万円が払い戻されます。つまりこの場合自分で支払うのは7万円となります。
(2)払い戻しがあれば7万円しかし、高額療養費の対象にならない費用の存在を忘れてはいけません。主に「食事代」「差額ベッド代」です。
「食事代」は1日約800円、「差額ベッド代」の平均はだいたい1日4000 – 5000円といったところでしょうか。差額ベッド代は、2人部屋や個室などに入った場合に必要な費用です。基本的には大部屋にするのか個室にするのかは自分で選べますが、大部屋が満室といった病院の都合で2人部屋などになるケースもあります(基本的には患者の同意が必要)。この食事代800円×7日=5600円と差額ベッド代5000円×7日=3万5000円を合わせた約4万円は自己負担になってしまうので、さきほどの7万円 + 4万円=11万円の出費は覚悟しなければいけません。
(3)差額ベッド代があれば大幅なプラスとなり、11万円差額ベッド代については、長期入院のときに大きな負担となります。「がん」など入院が長期にわたる病気、手術代が高い病気などの場合は、高額療養費となって返ってくる額も大きくなるので、基本的な医療費部分の負担額は若干上がるだけです。しかし、全額自己負担となる差額ベッド代と食事代は長期入院になるほど膨れ上がってしまうので、2か月から3か月の入院で入院費が60 – 70万円になってしまうこともあるわけです。この点は頭に入れておきましょう。
それから、家族がお見舞いに行くときの交通費も、入院が長期にわたると大きな負担となってきます。そのほか、入院に必要なさまざまな雑費を考える必要があるでしょう。

(4)雑費もプラスして最終的に12 – 13万円程度

夫が入院中の給料は? ?健康保険からの手当金も考慮する

最も不安なのはお給料が入ってこないこと、という人もいるのではないでしょうか。入院のための出費がかさむ一方、収入は途絶えてしまうので、不安になるのも当然です。

しかし、健康保険から給与の5 – 6割程度が支払われる制度があるのはご存じでしょうか。病気やケガで休んだ場合、健康保険から「傷病手当金」が支払われることになっています。
金額はおおよそ給与の5 – 6割程度で、1年6か月を限度として、出社できるまでもらえます。もらえるのは、連続3日以上休んだ後4日目を経て5日目から、などと細かい規定はありますが、こういった制度があることも覚えておきましょう。

このように見てみると、収入は減ってもまったくなくなるわけではないので、なんとかなりそうに思えますが、入院が長期に渡るとやはり入院費の出費は大きな負担になります。ですから、2か月から3か月入院したときの費用60 – 70万円プラス交通費などの雑費を目安として、また、病気になるのは1度だけとは限らないということも考慮に入れて、この分は貯金でまかなえるのか、保険に入ったほうがよいのかを考えてみましょう。あくまでも基本は、いくら必要か、そのための保険料が払えるか、であることを忘れないようにしてください。

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